今週は企業でのセミナーが続きました。
月曜は野村證券本社、火曜は日本ハム東京本社(先週は大阪本社でも)、水曜はライオン本社、木曜は旭硝子・愛知工場で。主催は人事部、労働組合、あるいは双方の協賛だったりです。
テーマはすべて、ワークライフバランス(WLB)やダイバーシティです。
企業セミナーの冒頭でボクは必ずこう言います。
「私はWLBの専門家ではないので、きょうはWLBの技術論つまり、どうすれば早く帰れるかとか、育休の取り方・取らせ方を教えるつもりはありません。WLBが個人や企業にとって何故いま必要なのかを、特に父親の皆さんに伝えたくて来ました。少し耳の痛い話もしますが、しっかり受け止めてください」と。
話す内容は…
@自己紹介
なぜFJを立ち上げたのか?また自分も共働きで小さい子どもがいる。保育園に毎日行っている。でも最初はうまくいかなかった(妻を苛立たせるダメパパだった)。そして9回転職したことやドコモ、楽天など大企業にいた話をするとサラリーマンパパと距離が縮まる。
Aイクメンの情況論
なぜいまメディアや社会がイクメンに注目するのか?家庭おいても育児に専念するママは毎日どういう心理状態でいるのか?何に悩み、夫に何を求めているかを直言。また働くママたちが抱える育児家事と仕事の両立の難しさについても話す。すると会場にいる少数の女性は頷き、または涙する人も。
Bイクメンの必要十分条件
ここではFJが掲げる真のイクメンの4つの条件を述べる。週末のみ子どもだけに向き合っているのは“惜しいイクメンだ”とも。
C男性育児&労働の現況
1日平均の育児時間30分とか平均帰宅時間、世界一長い労働時間→でも労働生産性は極端に低い。サービス残業が30代で年間平均400時間あるなどの話。「あ、オレのことだ」とわが身を振り返る多くの男性。
D短い育児時間(家庭滞在時間)よって生まれるパパの悩み
仕事と育児の両立ができない。子どもとどう向き合っていいか分からない。妻との関係が悪化したなど、ボクがこれまで会ってきたパパたちの肉声を盛り込みながら伝えると、身に覚えのある人たちは苦笑い。「家がホームではなく、アウェーになっているのでは?」というボクの指摘にうなだれるパパも。
Eファザーリングの極意
それらの課題を解決できる父親を楽しむための6つの極意、つまり家族が笑顔になるためのパパの心構えと具体的なアクション(ゴミ袋移動じゃなく本当のゴミ出しをやろう等)を幾つか教えます。
Fワークライフバランスではなく、ワークライフシナジーでいこう!
WLBは労務管理問題じゃなく自分問題。早く帰ることことが目的ではなく、早く帰って何がしたいのかが問われている。WLBのイメージもシーソー型ではなく寄せ鍋型で。ワークが先じゃなくてライフが先。人生を楽しむために育児も仕事もあるのだと。全部やってその相乗効果を体感しましょうと、伝えます。
以上がセミナー内容の流れ(ダイジェスト)ですが、これに講演の中では、旭化成が4年間で900人の男性育休取得者を出した話や、大和證券グループが全社19時退社しているといった先進事例(←意外と皆さん知らない)を交え、企業人が納得しやすいようにデータや実績成果を盛り込みながら、2時間近く弾丸トークで話します。
講演終了後にアンケート結果を聴くと、
「聴けてよかった。来れなかった同僚にも教えたい」「WLBがなぜ重要かがよく理解った」「ファザーリングさんの極意は、すぐ家で実践したい」という腹落ちしたパパや、「妻と育児をすることは老後の関係性にも通じるという話は刺さった。育児に協力的でなかったので今からでも妻を大事にするようにしたい」といった管理職(同世代)の声もよく聴かれます^^。
そう、企業セミナーでは現役パパ世代だけでなく、育児が終わった管理職世代の意識変革も狙いです(あまり管理職が出席してくれない所もありますが)。タテ社会の日本企業では、彼らが変わらないと男性のWLB(育児へのシフト)は進みません。
そんな中、今回初めてのことでしたが火曜日は、企業のトップつまり日本ハムの小林社長がボクの講演を聴いてくれたのです。
セミナーの冒頭では、「WLB推進はこれからのわが社にとって重要なこと。しっかり聴いて実践して欲しい」と若手社員たちにゲキを飛ばし鼓舞していました(その後の懇親会でも孫育ての話などいろいろできてよかったです!)
そして水曜日のライオンも次世代育成計画を推進し、男性の育児参加を応援しているとのことで、育休制度も法改正とともに拡充。育休期間の最初の2週間を有休にするなどした結果、今年はすでに9名の若きパパが育休を取得したようです。
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育休取得した男性社員がセミナーに。人事部より「ライオンのイクメンたち」と紹介され、後輩社員に向け「育休の相談は何でもボクらに訊いてください!」と呼びかけてました^^
リーマンショック直後は企業セミナーの需要はパタッと無くなりましたが、最近はまた増加傾向。そしてこの両社のように以前より内実ともにWLBが推進し、笑っている父親(男性社員&管理職)が増えてきていることを実感した今週でした。
年内はあと、中部電力、明治安田生命、全日空での企業セミナーが残ってます!