2009年08月20日

シングルパパが書いた作文

父子家庭支援のフレンチトースト基金には、いま14名のシングルファザーから給付の申請が届いています。

日本のシングルファザーの置かれている状況は、最近のマスコミ報道等で、一般の人にも理解は徐々に進んできました。でも当事者であるシングルパパの「肉声」はなかなか伝わりません。

基金の給付金申請に必要な書類の中に、シングルパパが書く作文「私の子育て」があります。

日々、育児と仕事の両立に奮闘するパパたちの声を広く知って欲しくて、そのうち7名分の作文を、申請者の方の了解をいただき(個人情報に配慮し)、サイトで公開することにしました。

その一つがこれです。

・・・・・・・
「私の子育て」 by シングルファザーAさん

サービス業の営業職として忙しく働いていた私は、週末はとにかく忙しい日々でした。

ある普段どおりの土曜日、夜遅く帰った私に妻が突然こう言いました。「離婚したい。子供の事を愛せない。育児は嫌だ」と。当時家族は私を含め妻と子の3人。息子はまだ2歳になったばかりでした。妻は翌日何も言わずに子供と私を置いて家を出て行きました。

それから私と子供、2人の生活が始まりました。

仕事一本で生真面目に生きてきた私に育児はそれまでに経験したどんな事より難題でした。おむつの取り替え方もミルクの作り方も解らず、悪戦苦闘しました。

会社には理由を話し休暇を取る日もありました。どうしても仕事をしなければならない場合は2歳の息子をおぶって勤務先に出勤した日もありました。会社からはこう言われました。

「育児を取るのか仕事をするのかはっきりしろ」

悩んだ結果、妻が家を出て1月が経った時、私は仕事を退職し育児に専念する道を選びました。

育児は解らない事だらけの毎日でした。それまで専業主婦の妻に任せていた事もあり、子供への接し方が解らず、よく子供に泣かれてしまいました。朝起きて夜寝付くまで一緒に過ごす事も慣れるまで時間がかかりました。

何よりも私の場合、突然の離婚でやむを得ず職を失った為に稼ぎが無いまま育児をしていくと言う事で精神的に辛い毎日でした。

育児で解らない事があるとインターネットで方法を調べたり親戚に相談したりしました。

色々な理由で私達の様に父子家庭になった場合、必ず思うのは「生活補助が無い」「仲間がいない」と言う事でしょう。周りで父子家庭の家族は稀です。市役所へ行っても近所を散歩しても母子家庭の様に頼れる存在等無いのです。風当たりも冷たいのです。

父親の私が悪戦苦闘していても息子はいつも元気な笑顔で接してきます。おしっこも漏らさず自分で出来る様に練習しました。今では自分1人でトイレに行って来る事が出来ます。お風呂でも私の背中を洗う事が出来る様になりました。食事は私を見て育った為か相変わらず野菜の好き嫌いが多いです。

テレビを見ていたせいでしょうか。いつの間にか着替えも1人で出来る様になってきました。三輪車も練習したせいでしょうか。自分の力でどこまでも進んで行けます。朝から晩までいつも一緒に過ごしています。1日1日と息子が何かを出来る様になっていく姿が本当に嬉しく思います。

新聞の記事で「フレンチトースト基金」を見た時、私は思わず涙が出ました。父子家庭は自分達だけでは無かったんだ。応援してくれる方達がいるんだ。そう思えたからです。

現状では父子家庭の家族は辛い思いをしているはずです。小さな子を持つ父子家庭では相談出来る機関も無く父親の勤務先も思う様に探せないのが本音です。

幸いながらもうすぐ息子は4歳になります。今は無事に保育園にも通える様になり日中は私も多少仕事の時間が持てる様になりました。やっと仕事と育児の両立の第一歩が踏めたと思っています。

2年前から始まった育児は日が経つにつれ辛さから楽しさに変わってきました。周りに育児仲間の居ない私は自分の幼い頃の記憶を思い出し、「こんな事をしてもらった」、「こうしたら喜ぶんじゃないか」等と考えながら息子に接しています。なるべく育児を負担と考えずに息子と一緒に楽しもうと考える様になりました。しっかり子供目線で接してあげれば子供は応えてくれる事も知りました。

こう言う事を言うと親バカと言われてしまうかもしれませんが、私は息子が聞き分けの良い優しい子だなと思います。母親が居なくなって一度も「ママ」と言う言葉を発しません。まるで私が落ち込んでいるのを解っているかの様にです。私が疲れた夜は寝る前に「パパ疲れたの?大丈夫?」と気遣ってくれます。

今でも、そしてこれからも私は息子と二人三脚で過ごして行く事でしょう。私の元気の源は「子供の笑顔」です。見ると自然と私も笑っているそうです。私達が生活していく上で一番必要なのが親子の笑顔なんだなと今更ながら気がつきました。どうしたら子供が笑ってくれるか、私が笑っていられるかも解りました。

もしかしたら父子家庭になって間もない方も居るかもしれません。そんな方達に一言、子供も父親もこんなに笑って過ごせるんだよと言う事をみせてあげたい気がします。

語れる程ではありませんが、以上が私の育児に関する考えです。乱文失礼致しました。

………

いかがでしょうか?

ボクはこの作文を涙なくしては読めませんでした。

妻の家出という青天の霹靂から、子どものために立ち直ったパパの愛と勇気。そして幼い息子の健気さ、、なんど読んでも泣けますたらーっ(汗)

そして自問してしまいます。

「自分がもしそうなったら彼のように出来るだろうか?」と。

皆さんはどうですか?

クラブ

FJでは、シングルパパだって笑顔で子育てできる環境や、ひとり親支援制度の確立のためにフレンチトースト基金を立ち上げました。

そのほかのシングルパパが書いた作文はこちらです。

どのパパも、仕事と育児の両立で大変なところを自分なりに乗りきって生活している姿。そして「この子と生きていくんだ」という父親としての覚悟と、子への大きな愛情を読み取ることができます。

どうぞ、すべてご一読ください。

さて、これまで基金には多くの方々が寄付を寄せてくれました(現在300万超)。募金いただいた皆さんには、改めて感謝いたします。

でもまだまだ多くの父子家庭が生活に困窮している現状があります。

なのでFT基金金局では、給付申請は9月末日で締切りますが、募金受付期間を、来年3月末日まで延長することにしました山羊座

また加えて簡易に募金できる「クレジット募金」も近々スタートさせる予定です。

どうぞ引き続き、基金の趣旨をご理解いただき、シングルパパと子どもたちの笑顔のために、ご協力をよろしくお願いします手(グー)

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posted by イクボスブログ at 23:27| 東京 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | FJミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
涙が。。
ここまで頑張って親子二人で楽しく毎日を過ごしているお父さんに拍手です。もちろんお子さんも。
このような父子家庭のお父さんと子どもに、基金という形だけでなく、何かお役に立てることがあれば、それが間接的なことであっても、何かをやってみたいという気持になりました。
Posted by おくずみ at 2009年08月22日 12:21
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